ぶれいどきゃっちゃー

社会人野球が好きな人が見たり聞いたり考えたりしたことを書いています。

どくしょかんそうぶん

たまに読んだ本の話をしようと思います。たまに、ね…
今回はこちら。



内容は一部、以前取り上げたYoutube動画で喋っている内容と重複しますが、
bladecatcher.hatenadiary.jp
それでもほんの一部に過ぎないです。動画で喋ったことは、渡辺俊介ちゃんが番組のネタになりそうなので喋りたかったことか、アンダースローとして大事なこと・最たる特徴的な点じゃないかと思います。山中さんも「それ本に書いてありました」って言うてたしなwこれ以外や、動画で触れた項に関してより細かいことを語っているという感じです。
本の特徴として、よくあるどうでもいい前書きがなく(ファンだったらそういう前書きすら読みたいものかもしれないけど)、いきなり本書の本題に入ってくれるので、とっつきやすい本だと思います。あとこの手の本って「本人そういう喋りしねーだろ、そういう言葉遣いせんやろ」という違和感が時々あるのですが、難しい言葉もなく、渡辺俊介ちゃんの声を脳内再生しながら自然に読めると思います。時々握りとか、手首の使い方とか写真付きで解説してあるので、文字だけで理解させる本でもないので「そう言われても具体的にどうやるんや…」と戸惑うことも少ないんじゃないかと思います。


この本が出たのは十数年以上前なのでアレですが、かつての渡辺俊介ちゃんは圧倒的少数派のピッチャーとしてかなりコンプレックスがあったんだな、という苦しみというか葛藤みたいなのを垣間見る場面があります。渡辺俊介ちゃん自身の話の雰囲気が濃くなるのは、第5章ぐらいからだけど。4章までは、結構技術論っぽいと思う。
今はもう時代が変わっていて、フォームや投げる球の多様性が割と認められているんじゃないかと思います。ドラフト指名された面々や、スカウト評が載るような選手の面々を見ると「やっぱ皆150km出せるピッチャーが好きなんすねー」と思うことが多いけど、実際近年は球速がインフレしてきてそういうピッチャーも増えてきてると思うけど、そういうピッチャーだけが抑えられて、球速が出ないピッチャーや、本格派なオーバースローのピッチャー以外は全部ダメ、みたいなこともないからね。
すごい速い球を投げることが全てではなく、ピッチャーとして生き残る上で大事なことを、この本は教えてくれるのではないかと思います。特にこの本の第3章に書いてあることはアンダースロー特有のものではなく、色んなピッチャーに通じることだと思います。だいたい、動画でも言ってるけど渡辺俊介ちゃんがアンダースローでも何でもない、工藤やジョニーの言葉をヒントにフォームを作ったりしているから、そういうことだよね。
でも、應武氏が渡辺俊介ちゃんを発見した時のエピソードはジワジワくるなこれ(爆)*1


で、この本が出たのは2006年なのですが、それから10年後に出た本がこちらです。これは本当に技術書です。全編カラー・写真大量、1ページあたりの文字が少なく、ページも126ページなのでさっと読めます。『アンダースロー論』から10年経って、渡辺俊介ちゃんもアンダースローの何たるかをマスターしたというか、より深く理解できたんだろうなというか…だから、技術的な内容はそんなに変わらないかもしれないけど、教科書として『アンダースロー論』よりも洗練されている感じがします。何より、かずさマジックの渡辺俊介選手の写真がいっぱいですし(ちなみにOKIZAKIという人がキャッチャー役をやっているのがチラッと見えます。いやうんどなたなのか勿論知ってますけど(爆))、当時のアンダースローの現役選手として山中さんの写真も1枚だけだけど載ってるよ。やったね(何が)
コラムという形で、『アンダースロー論』に載っていた話を再掲しているような箇所もあります。ただ、かなりふわっとした書き味なので、この話kwsk、と思う箇所があったら、直で『アンダースロー論』を読んだ方がいいでしょう。だいたいこの本、渡辺俊介ちゃんを知るための本じゃないからね。真剣にアンダースローを学ぶための本だからね。

*1:沖縄のある大学のチームを見に行って、たまたま対戦相手の國學院大の、それもその日投げる予定がなかった渡辺俊介ちゃんが投げていたのを一目惚れしたという感じだったらしいが、当時の竹田監督の証言によれば、應武氏はそもそも目当てのチーム自体を間違えていたらしい……運命ってわからないね(白目)